
リモートワークに特化した体制で全国から優秀なエンジニアを採用し、高度なシステム開発を手がける株式会社JOINT CREW。同社は「日本の子供たちを笑顔にする」というビジョンのもと、子育て世代を支援するBabyTech(ベビーテック)事業も展開している。日本の明るい未来のために奮闘する同社の代表取締役、村越了氏に話をうかがった。
先人への感謝が形作った、次世代のためのビジョン
ーー創業に至るまでの経緯について教えてください。
村越了:
私は家業である自動車整備工場の跡継ぎとして生まれ、短大卒業後に家業へ入り、自動車整備士として働き始めました。しかし、高級車を整備する中で「整備士の仕事をしていても、この車を買えるだけの収入は得られないのではないか」と疑問を抱き、1年勤めた後、他の道へ進むことにしました。
それからは、さまざまの日雇い労働を経験し、営業として再び自動車業界に戻ることに。その後、さらにステップアップしようとフリーランスの営業として、自己啓発教材の販売に挑戦しましたがうまくいかず、2003年ごろに東京のIT会社へ就職しました。そこでは10年間勤務し、営業課長、営業部長、執行役員と昇進していきました。
その後、あるIT企業の子会社としてJOINT CREWを立ち上げ、代表取締役に就任することとなります。しかし、雇われ社長という立場だったため、オーナーの意向で会社の方向性が変わるというリスクを抱えていました。そこで自分たちの意思で会社の未来を決められるようにするため、MBO(マネジメント・バイアウト)を実施し、現在の形に至りました。
ーー経営者として大切にしている思いをお聞かせください。
村越了:
私はお金も人脈も持っていませんでしたが、それでも企業の社長になり、年商15億円規模の事業をつくることができました。これは、先人たちが努力次第でチャンスを掴める社会の仕組みや、挑戦を許容する文化を築いてくれたからこそ実現できたと考えています。
そうした先人たちに報いるべく、次世代、特に未来を担う子供たちに良い環境と選択肢を残すことが、今の時代を生きる私たち世代の使命だと強く感じています。この使命感が「日本の子供たちを笑顔にする」という弊社のビジョンの原点であり、現在の事業展開につながっています。
エンジニアの所得向上と子育て支援の両輪で社会に貢献

ーー貴社の事業内容について教えてください。
村越了:
弊社はシステム開発事業とBabyTech事業の2本柱で事業展開しています。
1つ目のシステム開発事業では、需要と報酬が高い先端技術、具体的には、モダンなWeb開発技術やクラウド技術に特化して開発や構築を行なっています。開発範囲を絞っている理由は、エンジニアの市場価値を最大化し、エンジニアが高い収入を得られる環境を実現するためです。その結果、エンジニアの可処分所得の向上し、収入の面から子育て世代を支援することに成功しています。
2つ目のBabyTech事業では、主に子育てを支えるサービスを展開しています。弊社が提供している「くれいしゅ」という病児保育の検索・予約サービスは、子供が熱を出して保育園に預けられなくなったときに、病児保育施設を簡単に見つけて予約できるというものです。加えて「病児保育立ち上げコンサルティング」というサービスも展開しており、これらを通じて、働く親御さんをサポートしています。
ーー貴社の強みはどのような点にありますか?
村越了:
弊社の強みは、リモートワーク体制を基本としていることです。一般に、特定の地域だけでは十分な人数を確保するのは難しいものですが、全国から優秀な人材を採用できる弊社では、大規模な体制もスムーズに構築できます。
お客様に対して質の高いサービスを提供できると同時に、エンジニア自身も住む場所に縛られずに活躍できる環境を整えています。
50億円企業へ向けて、仲間とともに成長していく
ーー今後の展望をお聞かせください。
村越了:
システム開発事業では、高い技術を求める大手企業との取引を拡大していく方針です。そのために、モダンで先端的な技術に特化し、リモートワーク体制で全国のエンジニアを結集するという強みをさらに磨いていきます。
BabyTech事業は本格展開を始めたばかりの新しい事業ですが、今年中に「病児保育立ち上げコンサルティング」で10件の実績をつくることを目指しています。特に、子育て支援の拡充や移住者を呼び込みたい自治体との連携を推進する予定です。コンテナを活用した病児保育施設の提供も行っているので、総合的なアプローチで事業を拡大していきたいですね。
全社的には、5年後には社員数220名、年商50億円の企業になることを目指しています。子育て世代の可処分所得を上げ、育児と就業の両立を支援するサービスを、より多くの人々に届けていきます。
ーーその目標の達成に向けて、どのような人材を求めていますか?
村越了:
弊社が求めているのは、ビジョンに共感し、その実現に向けて主体的に行動できる人材です。システム開発事業であれ、BabyTech事業であれ、自分の仕事が未来の子供たちにどうつながるかを考えられる方とともに歩みたいと考えています。
昨年度は中途採用で15名、今年は新卒採用で3名が入社しており、今後さらに採用を強化していく予定です。弊社の理念に共感し、ともに社会課題の解決に取り組む意欲のある方との出会いを期待しています。
編集後記
システム開発事業とBabyTech事業。2つの事業は、一見方向性の異なる事業のように思えたが、話を聞き進めると「未来を担う子供たちの笑顔のために」という1点に集約されていくのが印象的だった。村越社長の描く事業構造は、少子化という社会課題に対する立体的なアプローチであり、ビジネスが社会貢献と一体となっている好例といえる。長期的な視点で「日本の未来」を見据える経営姿勢こそが、JOINT CREWの成長を支えているのだと感じた。

村越了/短大を卒業後、家業の自動車整備工場に入社。その後、日雇い労働を経験し、IT業界へと飛び込む。東京のIT会社に入社し、営業から課長、部長、執行役員を経験。その後、株式会社JOINT CREWの代表取締役に就任し、MBOを実施してオーナー社長となる。現在は東京、大阪、兵庫、新潟に拠点を展開し、リモート特化型のシステム開発事業と子育て世代を支援するBabyTech事業を手がけている。